2019.01.29
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新春セミナー:コピーライターは、もう不要!?AIの紡ぐコトバは、人のココロに刺さるのか。AI俳句と超コピーライティングの出会い
■開催日時:2019年1月12日(土)13:00~15:00
■開催場所:札幌文化芸術交流センター SCARTSコート
■共催:札幌市図書館・情報館、SAPPORO AI LAB
■後援:北海道新聞社
■プログラム
・セッション1:AI研究者が俳句、その背景にある感動を語る。
川村秀憲 北海道大学大学院 情報科学研究科教授
・セッション2:マーケティングのプロが感動の演出を語る。
臼井栄三 マーケティングプランナー 元電通北海道取締役
・セッション3:“スイーツ王国さっぽろ”の仕掛け人が明日のビジネスプロモーションに何が可能になるかお二人に聴く。
モデレーター 吉田聡子 桐光クリエイティブ代表取締役
2019年1月12日(日)に開催した新春セミナー第2弾は「コピーライターは、もう不要!?AIの紡ぐコトバは、人のココロに刺さるのか。AI俳句と超コピーライティングの出会い」と題したトークセッションでした。
専門的なAIや技術だけではなく「コピーライティング」というソフトなテーマもあってか、定員100人の会場は、あっという間に埋まっていきました。
今回は、
コピーライターは、もう不要!?
AIの紡ぐコトバは、人のココロに刺さるのか。
AI俳句と超コピーライティングの出会い
とタイトルにあるように、俳句やコピーなど、AIが生み出す「言葉」に注目。
AIが人のクリエイティブにどこまで刺さるのかを、AIの専門家、広告業界の専門家の立場から考え、最後にモデレーターも参加してAIはコピーライティングやマーケティング、ビジネスプロモーションにどのようにかかわれるのかを熱く語った2時間でした。
▲セッション1「AI研究者が俳句、その背景にある感動を語る。」に登壇した、北海道大学大学院 情報科学研究科教授、川村秀憲さん
セッション1では、北大の川村先生が「AI俳句がゴールではなく、AIが人のように考え、コミュニケーションが取れるようになるのが目標」としながら、「AIは記号接地問題がまだ解決できていない。AI俳句は、その解決の糸口になるのではないかと考えている」と、AI俳句への期待感を語ってくれました。
また「大量の言葉を学び、それを組み合わせて、俳句っぽいものはつくれるが、作品としての俳句は少ない。いいものを選ぶということができない、人の感性の獲得はまだまだ難しい課題」と話します。
句会で人の俳句が評価でき、そこで学んでいくことがAI俳句の最終目標。だが、どうやってそれを判断するのかを説明するAIが必要で、俳句を通してAIを研究するのは、それを解決することになるのではないだろうか、と話を結びました。
▲セッション2「マーケティングのプロが感動の演出を語る。」に登壇した、
マーケティングプランナーで元電通北海道取締役の臼井栄三さん
セッション2は、「試される大地」のプロデュースなど、広告代理店で長年コピーライティングやマーケティングコミュニケーションに携わってきた臼井栄三さんが登場。
「俳句とは自己表現であり、作者の生き方や人生観、ものの考え方に共鳴するところが多い。根底にあるのは、『自分を表現したい』という気持ち。AIには、それがあるのか?技術的にAI俳句は上達するだろう。しかし、AI俳句は人がつくる俳句とは別物。なぜなら、AIに人生はあるのか?」と、冒頭からAIが紡ぐ「言葉」へ疑問を投げかけます。
しかし、AI俳句はAIが俳句をつくるのが目的ではなく、応用されて次へ進むものではないか?と、やはり臼井さんもAI俳句が持つ未来へ期待感をのぞかせます。
2017年に実際に電通がつくった広告コピー生成システム「AICO(アイコ)」を例に、誰もが知っている広告コピーを時代別に紹介しながら、AIがつくるコピーについて、課題と将来性を語ってくれました。
そして、「AIがつくるコピーは、それを採用する人の判断力、知見が問われ、大きく試される。AIはどんどん進化するが、応用できるのが人間。その時だけ売れればいいというAIコピーは、間違った方向に行くだろう」とまとめて、セッションを終了しました。
▲セッション3「“スイーツ王国さっぽろ”の仕掛け人が明日のビジネスプロモーションに何が可能になるかお二人に聴く」に登壇した、モデレーターで桐光クリエイティブ代表取締役の吉田聡子さん
セッション3では、モデレーターの吉田さんが、川村先生、臼井さんと3人で、人はAIをどう使っていくのか、それを札幌というまちでどう活かせるのか、トークを繰り広げました。
臼井さんが「いま、言葉は記号化している。きちんとした言葉でメッセージをしないと、人には伝わっていかない」と話すと、吉田さんから「AICOが、新しい視点を見るけることができるのでは?」と問いかけます。
すると川村先生が「AIは正解を学習するのが得意なので、人の発想を刺激することはできると思う」と専門的立場から話してくれました。
▲セッション中は、メモを取る人の姿も多く見られた
そして、
「札幌は、新しいものを取り入れたり、チャレンジをするのが好きなまちなので、AIに向いていると思う。言葉は人を動かす力があるのだから、AIの力を使いながら、札幌の魅力を発揮することができると思う」。
「人はAIみたいに、たくさんの言葉をつくりだすことはできないが、選ぶことはできる。なので、素材はAIが出して、最後は人がきちんと判断し、方向性を持たせ、戦略的に使うようにすれば、それはものすごく大きな武器になるし、財産にもなる」と、臼井さん。
最後に川村先生から「人とAIが一緒につくりだせるものがある。共存して、人がより高みに行くための道具としての可能性が、AIにはある」と、人とAIとの共存、可能性についての言及があり、セッションは終了しました。