2019.03.13
ニュース
いまAIで出来ること~医療×AIから他事業展開へのヒントを聴く
■開催日時:2019年3月8日(金)16:00~17:30
■開催場所:space360(札幌市中央区南1条西6丁目20番地1 ジョブキタビル8階)
■主催:一般社団法人さっぽろイノベーションラボ
■後援:SAPPORO AI LAB
■講師:川上敬 北海道科学大学副学長 北海道科学大学工学部情報工学科教授
札幌AIラボ テクニカルメンバー
2019年3月8日(金)、space360(スペース・サン・ロク・マル)で、さっぽろイノベーションラボのセミナーを開催しました。
今回のテーマは、医療×AI、そこから考えられる新たな産業分野への展開です。
「AIをビジネスに活かすとか、マネタイズとか、実は私はそこが弱いところなのですが(笑)。今日は、何かうまいヒントが連携できればいいと思います」と、切り出した講師の川上敬さん。
▲北海道科学大学副学長、北海道科学大学工学部情報工学科教授、川上敬さん。AIの社会応用に関する研究に取り組んでいます
まず、「なぜ医療にAIなのか?」というテーマで、日本と海外の医療現場での違いについて話がすすみました。
「日本にはCT(コンピュータによる断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像法)などの高額医療機器はものすごく台数があるのに、そのデータを読み取る読影医師の数が圧倒的に少ない。高齢化社会の到来により、医療データはどんどん膨大化しているのに、それを見る医者がいないという現状から、医療の効率化が絶対に必要」。
それをふまえて、「AIとは何か」「ディープラーニングとは」という基本的な知識、技術についての説明がありました。
「医療分野を中心にAIで何ができるのか」というテーマでは、「アメリカではすにでAIを取り入れた画像診断がすすんでいるが、国内ではまだまだ研究としての取り組みがほとんど」と前置きしたうえで、医療現場で処理される医療画像について、現在は画質が改善され、解像度も向上し、ノイズ除去や画像変換、セグメンテーション、画像間レジストレーションなど、可視化して診断することが可能であり、AIがその診断の支援をすることができると川上先生は話します。
具体的には、「核医学検査における心筋SPECT画像からのプロジェクションデータ作成を自動化し、そのためのセグメンテーションとして、血管、臓器などの領域を可視化して切り出せるようになった」と話してくれました。
この技術を医療以外で応用できないか?と、酪農の現場で牛の管理をドローンとAIを使って検証が行われたそうです。
「画像や映像であれば、そこそこのものはできる。ただ、冬に白黒の牛は、認識できなかった。また吹雪も危険度がわからない」と課題も残っているそうです。
最後に「医療×AIの未来」「ビジネス化へのヒント」というテーマで、「画像認識の効率化ができればいい。そうして今までにない付加価値が生み出されれば、AIを使う意味がある」と、「AI×〇〇〇のビジネス創出」というキーワードを投げかけてセミナーは終了しました。
質疑応答では、AIでいろいろできるのはわかるが法整備はどうなっているのか、医療分野で応用する際のAIの学習用サンプルをどこから集めるのか、個人データを扱う際のセキュリティ問題など、具体的で現実的な質問が次々と出ました。
これに対して、「画像認識はブラックボックス。そろそろその中で何が起きているのかネットワークそのものを可視化してあげると、全部とは言い切れないがかなり説明はできる」「いま私が行っている研究事例は、理解のある医者に協力してもらって、それにのっかっているが、それではいけないと思っている。世界的にフリーで使える大きなデータベースがあるが、ほとんど健康なデータ。異常があるデータがあるとはいえない。いろいろな方向からデータを集めなければいけない」など、丁寧に応えていました。